私が自然農を始める理由(実践編)国連で決議された「家族農業の10年」が来年から始まります。その助走として!
私が自然農で育てる水田です。ちと遠いですが、北アルプス常念岳を借景にしています。小太郎米の誕生です。
百姓仕事で世界を変えよう!
百姓仕事で世界は変わる
世界各地の自律した百姓たちが
環境への深い洞察力と
コミュニティ再生とを武器に携え、
いまひそかに革命を起こしはじめている。ジュールス・プレティ
「種子が消えれば、食べ物も消える。そして君も」ベント・スコウマン(種子倉庫)
「もし蜂が地球上からいなくなると、人間は4年以上生きられない。蜂がいなくなると受粉ができなくなり、そして生物がいなくなり、そして人間がいなくなる。」アインシュタイン
持続可能性の重要性
地球温暖化防止も良いけれど、もう少し足下の「持続可能性」について考えたい。今日、あなたがスーパーマーケットで買った野菜は、持続可能の連環が切れてしまっているお野菜です。1世代のみのF1種は、種をつけません。ですから農家は100%毎年種を買います。
これって、持続可能ですか?
F1種の問題は、F1種自体にあるのではありません。昔習ったメンデル法則を利用しているだけですから。問題は何を優性としているかです。雄性不稔を優性としていることが圧倒的に多いのは、自家採種ではなく来年もタネを買わせたいからです。
これって、持続可能ですか?
発芽しては売り物にならないじゃがいもに放射線を照射して「芽留め」していることもあります。
これって、持続可能ですか?
農業指導のもとで、土壌の状況を確認もせずに、化成肥料で窒素成分を田畑に撒き、河川と海洋を富栄養化させ、アオコ、赤潮、酸性雨の原因を作っている農業。
これって持続可能ですか?
私たちは、次世代に種をつないで行こうという生命力を頂いて生きています。
これを思い上がりで、はきちがいてしまっているのが現状です。生産者にも、生活者にも流通にも問題があります。
自分が作ったものが、誰かの健康被害につながるなんて耐えられないし、環境の破壊者、汚染者にもなりたくない。
無農薬、無施肥、不耕起栽培、自家採種(f1種や遺伝子組み換え種子を買わない)
の4タイムスNO!にもう一つ追加、無廃棄(捨てない)で無駄無く
サイズや重さが不揃い、形もいびつなのは当たり前。
B級、C級として売るのではなく、加工品の素材にしましょう。
果物ならジャム、野菜ならお漬物、間引いた葉物はベビーリーフ。
少しの工夫で農業の6次産業化は可能です。
流通も変えていきましょう!
そんな自然農を私たちは始めました。
「私が自然農を始める理由」(気付き編)(出会い編)でお伝えした通り、営業マンで、ネットベンチャーの経営者であった私が、実際に自然農園を始めることになりました。
日本野菜ソムリエ協会での講座でも必ずお引き合いに出す「計画のない目標は、単なる願望に過ぎない」サン=テグジュペリにならって、計画と圃場の設計です。
まずは、どうやってお売りするのかです。
JAさんに買い取っていただける訳もないので、直売所に卸すか、直売するかですね。
直売所は、売上の20%を直売所に納入する委託販売です。委託販売ですから、売れ残ったものは引き取らなければなりません。そして売価の決定メカニズムは小売サイドにあります。見てくれにも気を配らなければなりません。決定権は生産者ですが、直売所から指導が入ります。
中には、脱サラ組の年金受給者が「いくらでもいいから買ってほしい、食べて欲しい」と価格破壊を起こしてしまいます。歴史に学ぶまでもなく、値引き合戦に勝者はありません。最近目にするのは、値引き合戦がエスカレートして、品質が落ち、客足が落ち、経営が成り立たずに直売所自体が閉店するケースです。
では、私たちはどうするか?もちろん先人に学びます。
小規模だからできること、家族経営の農家ならではのやり方です。
今の状況に似ている1984年のイギリスで「ボックススキーム」が始まりました。
旬の新鮮な野菜を詰め合わせて定額で契約していただく方法です。
この方法は、自分たちの野菜づくりの方法が重要な訴求点になるので、どう伝えるかとどう納得してもらえるようにするかが鍵です。難しいようですが、考えればその二点だけに集中すれば良いのでシンプルです。自然農法であることを理解していただき、それが故のサイズの不揃いと納入時期にもご理解をいただくことが重要です。
JASマークが付いているから安心という「安心社会」より信頼できる人が作っているから信頼できる「信頼社会」に移行しなければなりません。
(山岸俊男「安心社会と信頼社会 ―日本型システムの行方」中公新書 名著です)
練馬時代に、天然酵母、国産小麦の安心安全なパン屋さんのお客さんと、たむそん自然農園さんのお野菜を買っていただいた方を中心に、将来的に自然農のお野菜の宅配希望者になっていただけるか住所を教えて頂きました。
その方たちに少しづつお売りしていこうと決めました。
最初は月に10人、将来的には最大でも100人くらいでしょうか。
上手く計画通りにいかなくても良いのです。計画を立てることも重要なんですから。
その方たちに、マーケティング戦略の常道を組み合わせていけば経営は安定します。アップセル(客単価の向上)とクロスセル(ついで買い)ですね。私たちの場合は、アップセルは購入個数の追加、クロスセルは自然農法で作られたものの加工品のついで買いを提案します。今の計画では、無廃棄を目指し、お野菜だとお漬物、果物はジャムに、自然農のお豆と自然農の米麹で作ったお味噌などを提供します。
次に圃場の設計です。
自然農法ですから、肥料を与えないので発育はどうだろうかと虫喰いの心配があります。ですが、これも先人に学べです。「コンパニオンプランツ」と天敵の活用です。植え合わせと天敵でで発育と虫喰いを解決しようとの考え方です。(これはとっても大事なことなので、別項でまとめておきます。)
東京で暮らしていた時は、蜘蛛の巣なんて大嫌いでしたが、今では、蜘蛛の巣、スズメバチ、蟻など大歓迎です。
「土作り」と聞くと、なんか良いことをしているようですが、これこそ「農業の常識は自然の非常識」です。窒素などの化成肥料を混ぜ込んでいるだけです。除草剤やビニールのマルチで微生物を殺しています。
本当の「土作り」は土中の微生物にいかに気持ちよく働いてもらえるようにするかです。
自然農では、草刈りを小まめにします。これは、根を枯らして微生物の栄養にしてもらうためです。これこそが土作り!
最後に、就農して同じ目線で生産者さんたちを見ていると、湯婆婆に名前を取り上げられた映画を思い出します。この映画では主人公が名前を取り戻す物語のはずなんですが、
どうも匿名に逃げ込んで、農薬や除草剤の将来的な悪影響に目を背けているようにしか見えないのです。
不安(不作、不出来、不揃い、不買)を人質にするような流通構造が大きな問題のようです。
直売で、農業の6次産業化で安心社会の次の信頼社会の実現を目指しませんか。
自然農で、堂々と自分の名前を取り戻し、大勢の人に喜んで、健康になっていただきましょうよ。
なんと来年から「家族農業の10年」が国連で決議されました。
これによると1.世界の食料の8割は家族農業で生産されている。2.グローバル化、貿易自由化、大規模化、市場原理主義の行き詰まり。3.持続可能な食料生産はのパラダイスシフトが必要とのことです。世界では始まっています。
(インドネシアやキューバが先進国、日本は圧倒的後進国です)
まだ力を合わせれば、間に合うかもしれません、地球を守ることに。
自然農法で、私たちの健康だけではなく、環境や川や海も救うことができます。
今こそ、ダイマクション*というアクションを!
*建築家で宇宙船地球号という考え方を示したバックミンスター・フラーの持続可能であるという意味の言葉、ブランド。
お師匠さんから推薦された作家の本です。なんとバイオマス(生物の総重量)のうち多細胞生物の99.7%は人間などの動物ではなく植物が占めている。この事実からすれば間違いなく地球は「緑の星」だと定義できる。